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保育所と幼稚園の修了式、小学校と中学校の卒業式。町長に就いて初めて。それぞれの節目の子どもたちと保護者たちを目にして、たくさんのことを感じた。
理屈なしの可愛らしさに目じりが下がったかと思えば、修了証書をお母さんに手渡す様子に目頭が熱くなる幼稚園。式の途中で泣き出す子がいれば「どうした、どうした」とオロオロと心配になる保育所。また、小さくなった制服を身に着けて入場する子の6年間のありがたさを思う小学校。少年少女と青年の境目で少し戸惑ったような表情の中にも凛とした頼もしさを見る中学校。そして保護者や家族、先生と学校職員、保育士、給食担当職員、地域の人たちといったたくさんの人たちへの感謝。案内された席に座りながら、心の中はとても忙しかった。
県北中。吹奏楽部が卒業生入場に演奏した曲は、引地が中学3年のときに吹奏楽コンクールで演奏した曲。出だしの音を聞いた途端、いきなり部活動の毎日に引き戻された。音楽室の匂い、夕暮れの部活帰り、合宿、先生が求める演奏ができなくて悩んだこと、部活終わりは毎日、先生と一緒に戸締りしたこと、本番の演奏のこと。良い思い出…。えっ、何で、今そんなこと思い出すんだろうと、自分でもびっくり。
そして思った。目の前にいる、今巣立とうとしている子どもたちが大人になって、何かをきっかけに、ふっと子どものころを思い出すとき、国見町でのことが何にも替え難い、尊いものであるようにしないと、と。
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