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おいしい「果樹・野菜」のお話をしましょう。
実りの秋。国見町のりんごの生産農家を訪ねると、同じ赤いりんごでも大きさ、甘みと酸味のバランス、食感もちょっとずつ違うのでいろんな味が楽しめます。「昔の品種は、日持ちが悪かったり、色がつかなかったりどこかしら欠点があったのですが、最近は、品種改良が進み味も色も日持ちもグンとよくなっています。ぜひ、新しい品種も食べてりんごの世界を広げてほしいです」と語るのは、りんごの生産農家の三代目としてがんばっている黒田壌さんです。りんごは、世界に2万品種以上あるそうですが、日本の市場に出回っているのは、そのなかの30品種くらい。国見町の生産農家では、そのうちの約10品種を育てているので、ハイシーズンになるといろんな味のりんごが出回ります。
トップバッターは、9月上旬に色づく早生種のりんご「さんさ」です。続いて、福島県の果樹研究所で交配し育成した「緋のあづま」。10月に入ると、香りが良くて果汁たっぷりの黄色いりんご「シナノゴールド」や、小さくてもしっかり蜜が入っている赤いりんご「こうとく」など、個性的なりんごが次々と登場します。11月に入るとりんごの王様といわれる「ふじ」が収穫時期を迎えます。
同じふじでも、国見町で育つふじは、糖度も酸度もたっぷり含まれているので食味がとても濃厚。果実にナイフを入れると果汁がしたたり落ちます。そして果肉には、完熟の証の蜜がたっぷりと入っています。どうして国見町のりんごには、こんなに蜜が入るのでしょう。「一つは、土壌です。国見町では野菜農家さんも果物農家さんも、土地に合うものを育てています。わが家の場合ですと傾斜地に畑があります。傾斜地は水はけが良いので果物が作りやすい環境なんです」と黒田さん。もう1つは温度です。数ある品種の中でもふじは収穫時期が遅くて11月から12月です。蜜入りが進んで完熟するのが11月下旬。この時期に雪が降りだしたりする地域では、完熟する前に収穫しなければなりません。その点、冬でも日照時間が長い国見町のりんごは、お日様の光をたっぷりと浴びながら成熟できるだけでなく、内陸性盆地型で昼夜での寒暖の差が大きいため果実が甘くなり、色づきもよくなります。黒田さんは、その特色を存分に生かそうと袋をかけないで育てる「サンふじ」だけを生産しています。「お日様の光をたっぷり浴びて育つ完熟のおいしさをぜひ味わってください」。
黒田さんは、有機肥料を使うなど土づくりも大切にしています。「父が地元の果樹研究会に入っているので、そこで得た情報もおいしいりんごを育てるヒントになっています」。自宅の東側に広がる畑には、両手で抱えるほど太い樹齢40年、50年というりんごの木が、何本も並んでいます。木の下は、雑草が緑のジュータンを敷き詰めたように生えています。「これがいいんです。雑草をはやしておくと雨や風から畑の表土を守ることができます。それから草むらがあるとそこが微生物の棲家になります。一緒に害虫も育つのですが、育ったところで草刈りすると害虫退治ができます。草がないと全部木の上に行ってしまうんですよね。草を生やすことで虫を分散させることができますし、草むらが害虫の天敵の棲家にもなります。食物連鎖の関係を上手に利用するといいことの方が多いです。それに除草剤も使わなくて済むのでりんごの木や根にもいいと思います」。
りんごを育てて7年になるという黒田さんが一番悩むのが冬場の剪定です。「ももは、強い方向に伸ばしていくのですが、りんごはその逆。弱い方に伸ばしていきます。りんごの木をよく見ると分かります。下に垂れ下がった枝が多いでしょう。こういう枝じゃないとおいしいりんごにならないんです」。間違って剪定してしまうと花が咲かないこともあるので剪定は、緊張の連続です。「毎回悩むのが上に立ち上がるように出ている枝です。伸ばすか切るか。伸びている枝を残すと強くなってしまう。強い枝は風に弱いんです。台風も枝がしなやかならブランブランと揺れてしのげます。ももは、切ればなんとかなるけれど、りんごはそうはいかないと教わりました。切ってしまうと元に戻せないので迷ったら残すようにしています。でも、そうすると枝が混んでしまうんですよね(笑)」。
平成25年、黒田さんはまた新しい品種を植えました。名前は「はるか」。甘味が強く、身は硬くしまった日持ちの良い黄色系の蜜入りリンゴです。「ふじの時期に、ふじしかないのが不満だったんです。ふじと同じ時期に黄色い蜜入りりんごが収穫できれば、箱詰めのときに色違いで入れられます。ギフトの箱から赤と黄色のカラフルなりんごが出てきたらきっと喜ばれると思います。5年目あたりから収穫できるはずなので楽しみにしていてください」。
市場への出荷が少ないことから幻と言われる国見町のりんごは、9月から12月まで細く長くいろんな種類が楽しめるのが魅力です。ぜひ、食べてみてください。
「1日1個りんごを食べれば医者知らず」とことわざにあるように、りんごは健康によいと言われる成分をたくさん含んでいる果物です。疲労回復、高血圧防止、整腸作用、コレステロ-ル抑制などのほかにも、りんごに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、老化防止に役立ちます。感染予防、脂肪蓄積の抑制の働きもあるといわれています。自然の繊維分が多く整腸作用などがあるので美肌を保つのに効果的。丸かじりすると歯垢を取り除くだけでなく、あごも強くしてくれます。また、成分のアップルフェロンは虫歯菌をつきにくくするので虫歯予防にもなるそうです。
さっぱりとした甘さで丸かじりするのにぴったりのりんごです。
ふじ(種)×不明(花粉)の交配から選抜された品種です。果実全体に縦状に濃い紅色に着色します。肉質は硬く蜜が入ります。糖度が高くほどよい酸味もあり、日持ちも良好。
福島県の果樹研究所が交配育成し、平成18年に品種登録されました。濃赤色で果肉は緻密。歯ざわりも良く、糖度は14~15度。インパクトのある濃厚な旨味で食味も優れています。
ふじ(種)×不明(花粉)外見も食味も「ふじ」に似ていますが、「ふじ」より1カ月くらい早く収穫できる、「ふじ」の早熟系統です。
福島県の果樹研究所が交配育成し、平成18年に品種登録されました。濃赤色で果肉は緻密。歯ざわりも良く、糖度は14~15度。インパクトのある濃厚な旨味で食味も優れています。
福島県生まれ。果汁たっぷり。甘みも強く独特の香りを持っています。どちらかというと果肉自体が柔らかいので年輩の方も食べやすい品種です。
平成11年に品種登録された黄色いりんごです。香りがあり果汁もたっぷり。高い糖度と十分な酸味があります。貯蔵性に優れています。
濃い紅色と日持ちが良いのが特徴。酸味と甘みのバランスがよく、濃厚な味でジューシー。
小さいけれど蜜がたくさん入ります。香りも強くファンが多いおいしいりんごです。生産量が少なく、ほとんど市場に出ません。
昭和37年に命名・登録された品種です。果汁が極めて多く、甘酸のバランスに優れています。袋をかけないで栽培したりんごを「サンふじ」と呼びます。太陽の光をたっぷり浴びて育つので糖度が高くなり、蜜もたっぷり。食味も良好です。